UiPath研修・トレーニング 講師コラム UiPath StudioXについて(1/2)
こんにちは。UiPath研修トレーナーの関根です。今回は、UiPath StudioXについてお話ししたいと思います。
UiPath StudioXについて
UiPath StudioXは、2019年10月UiPath Forwardで発表された新しい開発環境です。
UiPath Studioの弟分とでも言うべき存在ですが、決してUiPath Studioのサブセット(部分的な機能の提供)ではありません。
プログラミング知識の無いビジネスユーザーでも短時間で作成方法を学習し、身の周り比較的小規模な業務を自動化することができるよう、根本的に異なる設計思想で作られた機能が提供されています。
2020年3月現在では、エンタープライズ版、Community Editionの両方で「プレビュー版」が提供されています。正式なリリースはもう少し先になるかと思われます。
弊社での対応予定について
弊社では、ライセンスの販売はもちろんの事、正式リリース後すぐにUiPath StudioXのサポート、研修がご提供できるよう、既にUiPath StudioXの評価、研修資料作成などを進めています(UiPath StudioXの研修については1日(6時間)程度のボリュームでのご提供を想定しています)。
また、StudioXの機能紹介のWebセミナーも開催を計画しておりますので是非ご参加ください。
UiPath StudioX について分かったこと、感じたこと
今回は、UiPath StudioXの評価、研修資料作成などの作業を進める中で分かったこと、感じたことなどをお話しさせてください(UiPath StudioXについては2019.10.3のプレビュー版に基づきます)。
「難関四天王」変数・引数・データ型・メソッドが存在しないStudioX
UiPath StudioXですが、一言で言って非常によくできています。
「これはよく考えたな!」というのが率直な感想です。
弊社のUiPath Studio研修の後にはお客様にアンケートを取らせていただくのですが、比較的難しく感じた項目として挙げられるのは決まって、「変数」「引数」「データ型」「メソッド」です。
プログラミング知識がある方達にとってこれらは既知の概念ですが、そうでない方達にとっては「難関四天王」と言ってもよいような存在です(プログラミング知識がある方達も、かつてプログラミングを学んだ時には同じところで苦労しているわけですが)。
この「難関四天王」、UiPath StudioXでは見事なほどに出てきません。
UiPath StudioXの世界ではこれらは存在しませんので、当然ながらその理解も必要ありません。
これだけでも、「学習に時間がかからない」ということがお分かりいただけるかと思います。
ビジネスユーザーでもStudioでの開発で直面するプログラミング知識
前回のコラムで、『「暗黙の型変換」や「名前空間」といったものからも逃げずに、足元のしっかりした知識体系を得ていただく』といったことをお話ししました。
ビジネスユーザー向けの場合、これらの概念には触れずに済むなら済ませたいのが本音なのですが、それでもUiPath Studioの場合は避けて通ることはできません。
StudioXは、EXCELを活用した親しみやすいワークフロー開発の仕組み
一方、UiPath StudioXの場合はそもそも「変数」「引数」「データ型」「メソッド」といった概念がありませんので、「暗黙の型変換」にも「名前空間」にも触れる必要自体がないということになります。
そしてこれらが無くなった結果、UiPath StudioXにおけるワークフローの開発は、ビジネスユーザーにとって非常に親しみやすいものになっています。
そのための一つの手段がExcelです。Excelそのものと、Excel風のものの考え方を巧みに活用した仕組みが採用されています。
「メソッド」の代わりにEXCELの「関数」を活用
例えばUiPath Studioでは重要になってくる「メソッド」についてですが、UiPath StudioXでは代わりにExcelを使用します。
「今日の日付をYYYYMMDDの8桁で取得したい」という時、UiPath Studioでは「ToString」メソッドの知識が必要になりますが、UiPath StudioXではExcelのText関数、あるいはセルの書式設定で済んでしまいます。
日々の実務で触れているExcelの知識がそのまま使えてしまうという一つの例です。
「変数」の代わりにEXCELの「名前」を活用
また、処理対象の指定も直感的です。Excelには「名前」という考え方があります。
特定のセルや範囲に対して「名前」をつけるというものです。
UiPath StudioXではこの「名前」を使ってデータの読み込みや書き込みの対象を指定することができます(名前を使わずアドレスで直接指定することもできます)。
更には、ワークブックや一時的なデータに対しても「名前」をつけることができ、ワークフロー内ではこの「名前」に基づいて処理を定義することができます。
「一時的なデータに対して名前を付けたらそれは変数じゃないか」という突っ込みがプログラマー界隈から聞こえてきそうな気もしますが、『Excelの「名前」ライクな考え方でワークフローを作っていける』というのはビジネスユーザーにとっては非常に大きなメリットです。
次回、いかに「難解四天王」を無くしたのかについて掘り下げます
さて、ここまでで、「変数」「引数」「データ型」「メソッド」について「存在しない」とお話ししましたが、実はこれらを存在しないようにする方法は3つのパターンに分類できます。「隠蔽」「代替」「破棄」です。次回は、UiPath StudioXがいかにして「変数」「引数」「データ型」「メソッド」を「無くした」のかについて、掘り下げて見てみます。これによって、UiPath StudioXでの開発イメージも更に浮かび上がってくるかと思います。